四方森ブログ

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ボツワナ森林保安官の「森健」研修     2015-12-10

発端は「ボツワナ国家森林モニタリング強化プロジェクト」をJAICAから委託を受けて推進している日本の会社から、代表の丹羽さんのところへボツワナ森林職員3名について「森健」の研修をしてもらえないかという要請がきたことによるらしい。
それを受けて稲垣さんと当方に講師としての依頼があったのだが、我々が地道に取り組んでいる活動がワールドワイドに拡がり、南部アフリカまで知られるようになるという感懐がまず湧き上がってきて嬉しかった。「森健」の活動を10年続け、その活動が日本国内だけでなく広く海外にまで知ってもらうことが出来るようになってきたという感懐であった。

いつものことながら依頼元とのやりとりは稲垣さんが取り仕切ってやってくれたし、何より英訳マニュアルを翻訳会社と掛け合いながら実施日の約一か月前に完成してくれて非常に有難かった。少し予習してみて当日はこのマニュアルに従って進めていけば一通り理解してもらえ最後には「森が元気に、人が元気に」の精神が伝わっていくのではないかと考えていた。 ボツワナについてもweb-siteで少し学んでおいた。

現場では稲垣さんが主導的にリーダーを務めてくれたので専らサブ役を務めた。丹羽さんが写真を取ったり進行に気使いをしてくれた。彼らが日常森林業務に携わっていること及びマニュアルの翻訳完成度が高かったこともあって理解は早く的確であった。 廉価な百円グッズを活用した計測キットや、その中に散りばめられているアイディア、わけても尺蔵を用いた樹高計測には興味を示してくれた。 又、マニュアルに従って作業を進めていけば目的とする森の健康度とそれに応じた処方箋を示すことのできるようになっている「森健」の手法を理解してもらえたと思う。
針葉樹を対象とする我々の健康診断手法は彼らが当面問題としている広葉樹に当てはめるには無理があるが、簡易的な表土の観測や植生等の調査による森の観察手法などは理解してくれたに違いない。 帰国後ここで学んでくれたことが遠いボツワナの国で森林保全の仕事に役立ってくれることを願うばかりである。 「尺蔵」にはいたく感動したようで帰国に際して移譲依頼があり一台晴れてお嫁入りしたようである。彼らが普段樹高測定に使っている高価で重くて嵩張るVERTEXに比べてそのメリットを認識した所以であろうが末永く可愛がってほしいものである。




午前中に一通りの調査は終わり、昼食を取りながら現場でなしえなかった補足説明をしながら何が日本で最も印象的であったかと聞いてみた。「沢山の人がいるのに警察官の姿が見えないこと」「日本人の親切なこと」「日本の社会がORGANIZE(うまく連繋・機能)していること」等を挙げてくれた。独立(1966年)以来内乱、クーデターもなく政治的に安定しており、GDPもマレーシア、アルゼンチン並みの国というのに巷には小さい犯罪が頻発しているようであり日本の治安をうらやんでいた。 更に最たる質問は「何故報酬も出ないボランティア活動にそんなに熱心に取り組むの?その理由が分からない」ということだった。 ボツワナでは報酬も利益も出ないボランティア活動なんかに参加してくる人々は殆どおらず、我々の活動が10年以上も続き広がりを見せていることが不思議でならないということだった。 この答えには窮した。 思えば日本でもボランティアの言葉が聞かれだしたのはつい最近のことではないのか? 日々の生活に汲々としていた頃はそんなボランティアの意識が生まれてなかったのでは?と思ったりした。 つまるところ彼我の生活水準、社会構造の差がボランティア活動の意識の差になっているのではないのか?
組織や制約から離れて、ボランティアだからこそ味わえる縛りの少ない活動で、ゆっくりと目標に向かって楽しみながら歩んでいく精神が、彼らにとっては理解を超えるものなのであろう。 日本では遍く浸透しているこの精神こそが最も伝えたいことであったが、伝えきれずに終わったような気がして心残りであった。

彼等から提起された「燃料確保のための木の伐採」「雄象の勢力誇示のための木の倒壊」などの問題に対しては、それを認識している彼等政府森林保安官が中心になって当事者の住民を巻き込みながら大学教授や古老などの知見を得ながら一つひとつ解決していくほかに道はないように思える。 森の大切さ、人間社会における大きな役割をまず住民に知ってもらうことが肝要なことだと思う。
この研修で何とか彼らがそれに気づいてくれることを願うばかりである。


                                  
                                    

森健活動から10年経過、マニュアルは世界標準の英語版まで完成した。 今年は日本国内だけではなく新たに諸外国と結びができていく新しい飛躍の年かもしれない。
しっかり地に足の着いた活動を継続して行きたいと思う。                                       あすけきこり塾  小山 利雄
 
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